「自分の家の玄関を出ていくということは危険な仕事なんだよ。道に足を踏み入れたが最後、倒れないように立っていなければ、どこに流されていくかわかったもんじゃない。この小道は外でもない、闇の森を通るその道なのだ。道の導くままにかまわず行けば、離れ山だろうと、ほかのもっと遠い、もっと怖い所だろうと、お前を連れて行ってしまうその道なのだ。それが、お前にはわかっているかね？」

はじめに〜軒しのぶと「指輪物語」

　それは、１５年前、高校の図書室に転がっていた６冊の文庫本から始まりました。
「指輪物語」
　何の気なしに借りていき、細かい字に苦労しながら序章を読んで、１巻目の２章「過去の影」まで読んだとき。
　私は、怖くて眠れなくなりました。
　文庫本の表紙の指輪の中から、冥王の目がこちらを見ているような気がしたのです。
　そのとき、私は確かに、主人公のフロドと恐れをともにしていました。
　そのまま、続きを読み続け、彼と一緒に旅をして、一気に全巻を読破したのでした。

　以来、中つ国の世界はいつも私の中にあって、関連書籍が出たと知れば読みつつ、１５年が経ちました。
　そして2002年春、ついに映画「The Lord of the Rings　第一部」が公開されたのです。

　ここには、こんな軒がこの映画を観て考えた、よしなしごとが掲載されております。

ネタバレ警告：以下の文中には映画「The Lord of the Rings」第一部、第二部のネタバレを含んでおります。
また、リンクの最後に「原作」とついているものは原作の第三部のネタバレを含んでおります。ご注意下さい。