第三十五回　蘇りし者たち

昌幸「近藤、あれくらいでびびってどうする。覚悟がたらんわ覚悟が」
信之「ですから、春日殿をはめてひとっ風呂浴びていた父上は、普通ではございません」
きり「だって、近藤さんの目の前で、政次さんをぐっさりやった直虎ちゃんよ。そりゃこわいわよ。もみあげくらい剃ってやれば良かったのに」
信繁「……治療で剃られているかもしれないが」
昌幸「それに家康も家康じゃ。気賀くらいで嫌気がさして氏真と和睦するなど。お屋形さまがお怒りになるのももっともじゃ」
信之「……どっちかというと、軽く見ていた豆狸に出し抜かれて遠江を押さえられ、目算が狂ったからお怒りなのではないか、と。この頃から徳川殿は戦が嫌いだったのですね」
昌幸「じゃが、『なんとかなる』って、お屋形さま相手にあの豆狸めがなんとかできるわけがなかろう。この先を楽しみにしておけ」
信之「視聴者の多くは恐れおののいておりますが」
きり「口移し……直虎ちゃん、なんで和尚さんがやったことにしたんでしょ？」
信繁「さあ？」
信之「それは、直虎殿本人は気がついていないが、龍雲丸を意識しているからだな。何も感じていなければあっさり事実をいっただろうからな。もっともその方が、龍雲丸の煩悩はいや増したかもしれないが」
信繁「なるほど。生き残ってしまった者同士、心が通い合う、というところですね」
信之「政次殿はあの世で暴れているかも知れないが」
きり「わたしもやってみたかったなあ、口移し」
信繁「遠慮する」
信之「だが源次郎、おまえしょっちゅう、きりに食べ残しを食べられていたぞ。饅頭とか、大坂に行ってからは、びすけっと、とか生せんべいとか」
信繁「なんですってええ！」
きり「えへへ」
信之「だいたい、台本にもなかった口吸いをやらかした奴が何を言うか（おれだって膝枕以上の場面が欲しかった……）」

あれ、お兄ちゃんにちょっと中の人の影が（笑）
口吸い事件といい、物まね大会といい、あの世から政次が暴れて飛び出してくるんじゃないか、と懸念した今回でしたが、でもやっと一息ついた、癒やされた。数回ぶりの直虎ちゃんの笑顔も拝めたし。
氏真と家康のやりとりもよかったなあ。氏真は、最後に攻撃された相手が家康で本当に幸運でした。信玄ならもう……あれで信玄、氏真とは血のつながった叔父なんですけどね……（氏真の母が信玄の姉）そんなこと関係ないんだろうな。　
だがそのせいで、武田が暴れております。次回以降がさらに不穏です。