第十回　走れ竜宮小僧

信繁「おお、亀殿が名推理！」
信之「そうだな。直親殿は現状認識能力はあると思うぞ。検地の時も的確に小野の立場を読んでいたしな。しかしそこまでわかっていてなぜ、ああいってしまうのか。今回も『借りは返したぞ』はいわでものことだ。というより、信じる信じないは貸し借りの問題か？」
信繁「確かに。そこで直親殿に違和感を感じてしまうのですよね」
昌幸「状況がわかっていても立てる対策はちょっと違う、というところか。家臣同士の殺しあい、もっと抜き差しならない事になるかと思うていたが」
信之「奥山殿の言動がおかしかったことを、事前に直親殿と孫一郎殿が見ていたからでしょう。父を殺されて逆上しても、頭を冷やして考えればそういえば、と気づく。あと次郎殿がなつ殿を連れてきたのは正解ですね。どうやら、井伊家は女性陣でもっているのではありませぬか」
昌幸「まあ、お化けがこわくて写経している、という噂程度で気を許すとは、単純だと思うが」
信繁「井伊の方々ですから……しかし、治部殿にもこうすればよい、とお教えすればよかった」
信之「いったところでそうしてくれるお方か？　ちなみに、政次殿は子供時代、本当にお化けが苦手だったのだそうだ」
きり「それを知っていた次郎が吹き込んだわけですね、なるほど」
信繁「ですがそれは、ドラマ内で描いておかねばいけないことなのでは」
きり「そして次は瀬名ちゃんの命乞いかあ。女同士の友情がすがすがしいわねえ。鶴と亀よりも。まるでわたしとお梅ちゃんやわたしと春さまみたい」
信繁「いやそれは、異性が絡んでいないからではないか、と思う……」


このまま泥沼に突っ込むのか、と思っていたらいったん落着させてきましたね。しかし井伊の中ではかなりの大事件だと思うのですが、表面上だけでも落ち着いてしまっていいのか？？　井伊の方々だからいいのか。
もっとも次回、次々回にくる序盤クライマックスの前振りだとは思うのですが。やめてやめてよ、突き落とす前に持ち上げるのは。　（と思っていたらほんとうに、谷底に突っ込む直前の崖っぷちの一休みであった……泣）